Derm.2024
災害と一人医長
遠藤 雪恵
1
1群馬大学大学院医学系研究科皮膚科学
pp.182
発行日 2024年4月10日
Published Date 2024/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412207307
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今から13年前に起きた東日本大震災で,群馬県は最大震度6を記録した.私が皮膚科医として1人で入院・外来診療を受け持っていた県内の病院でも,廊下の天井が大きく撓んだ.当時私には5歳になる息子がいたが,いつも利用していた保育施設は閉鎖になり,原発の情報も錯綜して先の見えない中で育児と仕事に追われることとなった.患者さんは自分が責任を持つ以外ない,息子も絶対に守らなければならない,この2つを両立できない事態が頭をかすめて崖っぷちに立たされたような気持ちになった.災害が起こることの「現実」がどんなことなのか,そのことを垣間見ただけであったが今も忘れることはできない.
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