Japanese
English
症例報告
脂漏性角化症に伴った皮膚悪性腫瘍の2例—ダーモスコピー所見に関する考察を加えて
Two cases of skin cancer concomitant with seborrheic keratosis:Discussion on dermoscopic findings
早川 怜那
1
,
木下 美咲
1
,
福井 香苗
1
,
宮川 秀美
1
,
下山田 博明
2
,
大山 学
1
Reina HAYAKAWA
1
,
Misaki KINOSHITA-ISE
1
,
Kanae FUKUI
1
,
Hidemi MIYAGAWA
1
,
Hiroaki SHIMOYAMADA
2
,
Manabu OHYAMA
1
1杏林大学医学部皮膚科学教室
2杏林大学医学部病理学教室
1Department of Dermatology, Kyorin University Faculty of Medicine, Mitaka, Japan
2Department of Pathology, Kyorin University Faculty of Medicine, Mitaka, Japan
キーワード:
脂漏性角化症
,
Bowen病
,
有棘細胞癌
,
ダーモスコピー
,
合併
Keyword:
脂漏性角化症
,
Bowen病
,
有棘細胞癌
,
ダーモスコピー
,
合併
pp.803-809
発行日 2023年9月1日
Published Date 2023/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412207100
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
要約 症例1:90歳,女性.半年前から背部に皮疹を自覚し受診した.背部に20×15 mm大の淡紅色〜褐色の角化を伴い,一部疣状を呈する局面を認めた.組織学的に脂漏性角化症とBowen病の合併と診断した.症例2:90歳,男性.数年前より右下腿に隆起する皮疹を自覚し受診した.右下腿伸側に13×12 mm大の一部紅色,一部黒色〜灰青色のびらん・潰瘍を伴う結節を認めた.組織学的に脂漏性角化症と有棘細胞癌の合併と診断した.2症例のダーモスコピー所見による良性・悪性病変の境界が病理組織学的な境界とほぼ合致したことから,ダーモスコピーにより,臨床像のみでは評価の困難な病変の位置関係を推測できると思われた.過去の報告からも,高齢者の中でも特に年齢の高い者で,脂漏性角化症に悪性腫瘍を合併することが多い.高齢者では一見脂漏性角化症に見える病変でも,ダーモスコピーによる慎重な観察を行い,悪性腫瘍の併存を除外する必要があると考えた.
Copyright © 2023, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.