Japanese
English
症例報告
バリシチニブを中止して確定診断に至ったアトピー性皮膚炎に合併した好酸球性胃腸炎の1例
A case of eosinophilic gastroenteritis complicated with atopic dermatitis with definite diagnosis after discontinuation of baricitinib
稲井 雅光
1
,
松本 啓志
2
,
青山 裕美
1
Masateru INAI
1
,
Hiroshi MATSUMOTO
2
,
Yumi AOYAMA
1
1川崎医科大学附属病院皮膚科
2川崎医科大学附属病院消化器内科
1Department of Dermatology, Kawasaki Medical School Hospital, Kurashiki, Japan
2Department of Gastroenterology, Kawasaki Medical School Hospital, Kurashiki, Japan
キーワード:
好酸球性胃腸炎
,
アトピー性皮膚炎
,
ヤヌスキナーゼ
,
JAK阻害薬
Keyword:
好酸球性胃腸炎
,
アトピー性皮膚炎
,
ヤヌスキナーゼ
,
JAK阻害薬
pp.731-735
発行日 2023年8月1日
Published Date 2023/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412207083
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要約 23歳,女性.小児期からアトピー性皮膚炎を発症.消化器症状が強く,シクロスポリンの内服継続が困難となり,バリシチニブを導入したところ皮膚症状に著効し,痒疹はほぼ消失した.しかし断続的な腹痛の出現は続いていたため小麦誘発性の腹痛を疑い,食物アレルギーの確定診断と,症状が誘発される摂取量の同定のため、バリシチニブ,抗ヒスタミン薬の内服中止と小麦除去を行った.その上で上部・下部消化管内視鏡検査にて,好酸球性胃腸炎と診断できた.好酸球性消化管疾患は近年増加傾向にあり,治療については十分なエビデンスがない.また,診断においても過敏性腸症候群などと診断されている症例も多く,潜在的な患者がいると見込まれている.バリシチニブをはじめとしたJAK(Janus kinase)阻害薬などの全身療法は,好酸球性胃腸炎などの好酸球性消化管疾患の診断を困難にする可能性があると考えた.
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