Japanese
English
症例報告
薬剤が誘因と考えられた肥大性扁平苔癬の1例
A case of hypertrophic lichen planus that was possibly drug-induced
平田 佳子
1
,
松本 悠子
1
,
小菅 治彦
1
Yoshiko HIRATA
1
,
Yuko MATSUMOTO
1
,
Haruhiko KOSUGE
1
1日野市立病院皮膚科
1Division of Dermatology, Hino Municipal Hospital, Hino, Japan
キーワード:
肥大性扁平苔癬
,
薬剤
Keyword:
肥大性扁平苔癬
,
薬剤
pp.413-418
発行日 2023年5月1日
Published Date 2023/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412207012
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要約 82歳,女性.高血圧,脂質異常症,不眠に対する数年間の内服治療歴あり.初診1か月前より左右手背に瘙痒性の皮疹が出現し,その後,下肢にも同様の皮疹が出現した.紅色から暗赤色,赤褐色の扁平な局面が散在し,下肢では一部に乳頭状の隆起も認めた.病理組織検査で表皮の肥厚とCivatte小体,真皮浅層でのリンパ球主体の帯状の炎症細胞浸潤を認め,肥大性扁平苔癬と診断.薬剤性を疑い,常用薬削減とベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステルの外用を開始して皮疹の新生が止まり,治療開始5か月後に局面と瘙痒が軽快した.発症に薬剤関与の可能性が考えられ,薬剤リンパ球刺激試験でシロスタゾール,テルミサルタンが陽性であった.肥大性扁平苔癬は扁平苔癬の稀な亜型であり,本邦では12例の報告がある.12例中5例で薬剤の関与が指摘され,一般的な扁平苔癬よりもその頻度が高い.そのため本症では,治療開始初期より発症への薬剤関与の鑑別が重要と考えられる.
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