Japanese
English
症例報告
丹毒が疑われた塩化ベンザルコニウム原液による左耳垂下顎部化学熱傷の1例
A case of chemical burn in the left earlobe and lower jaw due to benzalkonium chloride which was suspected as erysipelas
髙橋 ちあき
1
,
江原 佳恵
1
,
西本 周平
1,2
Chiaki TAKAHASHI
1
,
Yoshie EHARA
1
,
Shuhei NISHIMOTO
1,2
1済生会横浜市東部病院皮膚科
2川崎市立川崎病院皮膚科
1Division of Dermatology, Saiseikai Yokohamashi Tobu Hospital, Yokohama, Japan
2Division of Dermatology, Kawasaki Municipal Kawasaki Hospital, Kawasaki, Japan
キーワード:
塩化ベンザルコニウム
,
化学熱傷
,
丹毒
Keyword:
塩化ベンザルコニウム
,
化学熱傷
,
丹毒
pp.395-399
発行日 2023年5月1日
Published Date 2023/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412207009
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要約 19歳,女性.自宅でピアッサーを用いて左耳垂にピアシングを行った.翌日から左耳垂周囲に発赤が生じたため市販の消毒薬で繰り返し消毒を行ったが症状は悪化し当院を受診した.初診時,39 ℃台の発熱と左耳垂から下顎にかけての紅斑と熱感,疼痛を認め,血液検査では炎症反応が上昇していたことから丹毒と考え,入院の上,抗菌薬治療を開始した.しかし皮疹部では水疱と壊死組織が出現し,炎症反応の更なる上昇を認めた.抗菌薬不応と考え変更を検討したが,皮疹が顕在化し一部に直線的な形状を呈したことから,外因的要素による可能性を疑い,再度詳細な問診を行った.その結果,本来は希釈して用いる10%塩化ベンザルコニウムを希釈せずに用いていたことが判明し,塩化ベンザルコニウム原液による化学熱傷と診断した.塩化ベンザルコニウムを誤って高濃度で使用し化学熱傷をきたした報告は過去にもあり更なる周知の徹底が望まれる.
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