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増刊号特集 最近のトピックス2022 Clinical Dermatology 2022
2.皮膚疾患の病態
喫煙を介した掌蹠膿疱症の病態メカニズム
Pathogenesis of palmoplantar pustulosis due to smoking
小林 景樹
1
Keiju KOBAYASHI
1
1かとう皮フ科クリニック
1Kato Dermatology Clinic, Sapporo, Japan
キーワード:
掌蹠膿疱症
,
喫煙
,
IL-17
,
IL-36
Keyword:
掌蹠膿疱症
,
喫煙
,
IL-17
,
IL-36
pp.44-48
発行日 2022年4月10日
Published Date 2022/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412206645
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summary
掌蹠膿疱症は喫煙歴のある中高年の女性に好発する皮膚疾患であるが,喫煙がどのように病態に関与するのかはほとんど不明である.掌蹠膿疱症患者の病変部ではIL(interleukin)-8,IL-36が高発現しており,病態形成に重要な役割を果たす.扁桃上皮細胞をタバコ抽出液で刺激すると,IL-17受容体の発現亢進を介して,IL-8,IL-36の強力な発現誘導がかかること,実際の患者扁桃組織ではIL-36γが高発現していることが報告された.しかし,これが掌蹠病変の形成に直接関与するのかどうかは明らかにされていない.一方で,肺から吸収され,血中に溶解したタバコ成分が直接,掌蹠部でIL-8,IL-36を誘導する可能性も想定されている.乾癬,掌蹠膿疱症ともにIL-36の重要性が知られているが,pustular psoriasisではIL-36の関与がより強くなる.喫煙刺激によってIL-17 signaling pathwayが強化され,IL-36の産生が亢進することは,掌蹠膿疱症がIL-36関連疾患であることを裏付ける重要な知見であると考えられる.
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