Japanese
English
症例報告
左大腿部の慢性拡張性血腫の1例
A case of chronic expanding hematoma in the left thigh
鎗山 あずさ
1,2
,
米井 希
2
Azusa YARIYAMA
1,2
,
Nozomi YONEI
2
1和歌山県立医科大学皮膚科学教室
2公立那賀病院皮膚科
1Department of Dermatology, Wakayama Medical University, Wakayama, Japan
2Division of Dermatology, Naga Municipal Hospital, Wakayama, Japan
キーワード:
慢性拡張性血腫
,
皮下腫瘤
,
軟部腫瘍
Keyword:
慢性拡張性血腫
,
皮下腫瘤
,
軟部腫瘍
pp.1057-1062
発行日 2021年12月1日
Published Date 2021/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412206532
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要約 50歳台,女性.初診の約2か月前に前医で卵巣腫瘍の精査のため行われたCTで左大転子部筋膜上に8cm大の腫瘤陰影を指摘され紹介受診した.境界不明瞭,弾性軟の皮下腫瘤で,下床との可動性は不良であった.悪性軟部腫瘍も否定できないため,生検を行ったところ,内部より多量の茶褐色泥状内容物の排出を認めた.慢性拡張性血腫(chronic expanding hematoma:CEH)を疑い,全摘出を行った.厚い被膜をもつ囊胞様構造で,被膜下にヘモジデリン沈着を伴う肉芽組織,フィブリン塊を認め,病理組織所見よりCEHと診断した.CEHは外傷や手術を契機に1か月以上の経過で徐々に増大する血腫であり,自然消退しない.一般的に軟部組織発生のCEHでは随伴症状は伴いにくいとされる.長期間にわたり増大する皮下腫瘤や経過のはっきりしない皮下腫瘤では,本疾患も鑑別の1つに挙げ,外傷や手術の既往歴,抗凝固薬や抗血小板薬の内服の有無を確認する必要がある.その際,過去10年単位の既往も有用な情報であると考える.
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