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今年で皮膚科医になり20年が経った.20年前と比べ,皮膚科診療は大きな変化を遂げたことを実感する.フィルムカメラはデジタルカメラに変わり,紙カルテが電子カルテに変わった.フィルムカメラ時代は,暗幕のあるカメラ部屋で臨床写真を撮影し写真台帳に患者番号,患者氏名,臨床診断名,そして撮影者名を記載.フィルムが現像から帰ってくると,上手に撮れているかなあとドキドキしながらスライドを確認していたことを思い出す.取り直しが効かないので,現在のデジタルカメラよりも一枚一枚構図やピントぼけがないよう細心の注意を払って撮影していたように思う.紙カルテのころは外勤先に行くと通院歴の長い患者さんのカルテを見ると,記載してある筆跡からいろんな先生が診てこられていたんだなあということが一目でわかった.20年前は,処方薬の日数についても14日が最長で,14日ごとに患者さんが受診していたことは今では考えられない.治療に関しても,疥癬は安息香酸ベンジルローションを顔以外の全身に隈なく刷毛で外用していたが,塗るほうも塗られるほうも大変でしたね.尋常性乾癬や悪性黒色腫に対する抗体製剤の有効性は画期的だが,乾癬においては,病歴が長くこれまで数々の治療を受けてきた患者さんの中には,どうせそれほど効かないでしょ,と,治療効果に懐疑的な方や,安くて効く薬なら使いたいけど,などと乗り気ではない方も.治療や社会が進歩し,価値観の多様化により医療従事者に求められることも変わっていく部分もあるかもしれないが,病態解明や治療方法がわかっていない疾患は多数あり,患者さんに対して最適な治療を考え,説明し納得したうえで治療を開始する,ということは変わらないはずと心に留めて日々仕事に向かいたい.
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