Derm.2019
液体窒素療法,その前に…
外川 八英
1
1千葉大学大学院医学研究院皮膚科学
pp.134
発行日 2019年4月10日
Published Date 2019/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412205726
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平成30年(2018年)度の診療報酬改定により「いぼ等冷凍凝固術」として,脂漏性角化症の液体窒素療法が保険収載されたのは記憶に新しい.治療前には悪性腫瘍のスクリーニングとしてのダーモスコピーはもはや必須であると思われる.境界明瞭な結節で臨床的に脂漏性角化症を疑う場合であっても,ダーモスコピーで青,黒色をいずれも混じた領域が病変の10%以上に及ぶ場合には結節型悪性黒色腫(メラノーマ)が疑われる(blue-black rule:感度78.2%)1).一般的なメラノーマのクライテリアでは結節型メラノーマの感度が43.6%と低いことにも留意する.一方で,増大傾向のある毛細血管拡張性肉芽腫に類似した病変にも注意を払う.同症ではダーモスコピーで観察される紅色の無構造領域は濃淡が少なく割合均一である.無色素性の結節型メラノーマにおいても紅色の無構造パターンがみられるが,色調は一様ではなく,乳白色〜暗紅色までの濃淡差がある.頻度は半数に満たないが,後者では淡い紅色調のラクナ様構造(pseudolacunas),紅色の無構造領域やイチゴミルク色を背景とする不明瞭な紅色小球・領域(milky-red globules/areas)に伴う多形血管なども特徴的な所見と考えられる2).これらの所見はいずれも画像を撮影して大きな画面に映したほうが確認しやすい.また,臨床像とダーモスコピー像に乖離がある場合,非特異的な所見の場合,メラノーマも念頭に置きつつ,全摘生検や対応可能な専門施設への紹介を検討する.
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