液体窒素凍結療法が奏効したCircumscribed Palmar Hypokeratosisの1例

Circumscribed Palmar Hypokeratosis Successfully Treated with Liquid Nitrogen Cryotherapy

69歳，女性。約7年前より右手掌拇指球部に境界明瞭な紅色陥凹性病変が出現した。臨床所見と病理組織所見よりcircumscribed palmar hypokeratosisと診断した。液体窒素凍結療法を計4回実施し略治した。Circumscribed palmar or plantar hypokeratosisは掌蹠に好発する境界明瞭な類円形の紅色陥凹性局面を呈する疾患である。本症の免疫組織化学染色所見から，表皮の角化異常が原因とする説が有力である。自験例では，病変部・境界の健常部ともにKi-67が発現増強，CK10が発現減弱し，いずれも表皮角化細胞の増殖能が強く，分化能が乏しいものと考えられた。境界部は正常にみえても細胞レベルでは異常をきたしている可能性が考えられ，本症が遠心性に拡大することとの関連が示唆された。