Japanese
English
症例報告
帝王切開手術瘢痕部に生じた腹壁子宮内膜症の1例
A case of endometriosis developing in the scar of abdominal wall after cesarean section
八谷 美穂
1
,
小松 広彦
1
,
布袋 祐子
1
Miho HACHIYA
1
,
Hirohiko KOMATSU
1
,
Yuko FUTEI
1
1荻窪病院皮膚科
1Division of Dermatology, Ogikubo Hospital, Tokyo, Japan
キーワード:
腹壁子宮内膜症
,
帝王切開術
Keyword:
腹壁子宮内膜症
,
帝王切開術
pp.1063-1067
発行日 2018年12月1日
Published Date 2018/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412205590
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要約 34歳,女性.3年前に帝王切開術を施行し,第1子を分娩した.初診1か月前より右下腹部帝王切開瘢痕部に月経時に疼痛を伴う皮下結節を自覚した.子宮内膜症を疑い,全摘術した.病理組織像では,細胞成分に富む浮腫性間質内に単層円柱上皮ないし立方上皮からなる腺腔を認めた.免疫染色でエストロゲンおよびプロゲステロンレセプター,CD10が陽性であり,腹壁子宮内膜症と診断した.全摘後に再発は認めていない.腹壁子宮内膜症は全子宮内膜症の1.4%で稀な疾患である.本邦の腹壁子宮内膜症89例の検討では,全例で手術歴があるものの,月経関連症状を認めたものは51%にすぎず,臨床診断が困難な場合が多い.自験例は詳細な問診にて診断しえたことから,腹部手術瘢痕部に皮下腫瘤を認めた場合は,本症を鑑別疾患に挙げ,既往手術歴や痛みの性状などを確認する詳細な問診が重要であると考えた.
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