--------------------
書評 —編:鶴田 大輔—皮膚科レジデントマニュアル
大山 学
1
1杏林大学・皮膚科学
pp.735
発行日 2018年8月1日
Published Date 2018/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412205511
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
本書の最大の特徴は,巻頭に書かれているように鶴田大輔教授のもと阪市大皮膚科の御一門が“総力を結集して”作り上げたところにある.こと皮膚科に限らず一般に研修医・専攻医向けのマニュアルは分担執筆されたものも多く,章ごとのフォーマット自体はそろっているものの,項目ごとの重み付けや記載の細やかさが異なり,やや統一感に欠けるものも少なくない.長年「同じ釜の飯を食った」先生方が執筆されたことや,諸事にこだわりのある(良い意味で!)鶴田教授の目が細部にまで行き届いていることもあって,あたかも単著本のように,どのページを取り出して読んでも一貫したポリシーが感じられ,かつ密度の高い“特上のドライフルーツケーキ”のような一冊ができあった.ここまでされても,あえて「大阪市立大学皮膚科学マニュアル」などとしないところがいかにも鶴田教授らしいと好感を持った.
特に高く評価したいのは,約1/3弱を皮疹の診かた,検査,治療,使用頻度の高い病勢スコア表,パッチテスト成分や薬疹のまとめに割いた構成である.この手のマニュアルではよりコンパクトにしようとするあまり簡潔にまとめられがちな項目が丁寧に記載されている.実は臨床研修において本当に必要とされ,繰り返し見返すのは疾患の各論ではなくこうした情報なのだ.「実にわかっておられる」と感心した.
Copyright © 2018, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.