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増刊号特集 最近のトピックス2018 Clinical Dermatology 2018
3.新しい検査法と診断法
小児アトピー性皮膚炎の新しいバイオマーカー:癌抗原SCCA
A novel biomarker for pediatric atopic dermatitis:Squamous cell carcinoma antigen(SCCA)
藤澤 隆夫
1
Takao FUJISAWA
1
1国立病院機構三重病院アレルギーセンター
1Allergy Center, Mie National Hospital, Tsu, Japan
キーワード:
アトピー性皮膚炎
,
バイオマーカー
,
SCCA2
,
Th2型炎症
,
セリンプロテアーゼインヒビター
Keyword:
アトピー性皮膚炎
,
バイオマーカー
,
SCCA2
,
Th2型炎症
,
セリンプロテアーゼインヒビター
pp.68-71
発行日 2018年4月10日
Published Date 2018/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412205386
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summary
Squamous cell carcinoma antigen(SCCA)は子宮頸癌で初めて同定され,いくつかの扁平上皮癌の治療選択やモニタリングに利用されているが,アトピー性皮膚炎においても疾患活動性を鋭敏に反映する新たなバイオマーカーとして注目されている.この蛋白はセルピン(serpin)スーパーファミリーに属するセリンプロテアーゼインヒビターである.動物モデルにおいてSCCAがアレルゲン感作による皮膚炎症形成に働くこと,ヒト細胞を用いたin vitro系でTh2サイトカインのIL-4,IL-13によって誘導されることが観察されている.すなわち,アトピー性皮膚炎のTh2型炎症病態を反映する分子と考えてよい.実際に,血清SCCA2はアトピー性皮膚炎の重症度に相関して高値をとり,治療によって症状が改善すると低下する.小児のアレルギー疾患の中ではアトピー性皮膚炎特異的に高値をとり,多施設共同研究による多数例の検討では,カットオフ値1.6ng/mlにおいて高い感度と特異性を示すことが明らかとなっている.SCCA2は小児アトピー性皮膚炎の診断とモニタリングに有用なバイオマーカーである.
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