Derm.2017
皮膚科診療最前線
簗場 広一
1
1東京慈恵会医科大学皮膚科学講座
pp.60
発行日 2017年4月10日
Published Date 2017/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412205067
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大半は籍を置いている大学病院で診療を行っている.以前は大学に紹介受診された患者さんを診察した際,一目で手足口病や水痘,帯状疱疹などと診断できた場合に,「なんでこんなものもわからなかったのだろう?」などと傲岸不遜なことをしばしば思っていた.数年前から妻が開業している皮膚科クリニックで診療を定期的に行うようになった.すると,「今朝からこんな発疹がでました!」といった患者さんがたくさん受診されるが,これが本当に難しい.わからずに数日後に受診していただき再び診察すると,どこからどう見ても典型的な水いぼであったりし,深く落胆する.ついさっき出たばかりの皮疹から診断することがいかに難しいかを痛感されられる.先日も生後数日の新生児の,顔面の淡い紅斑の診察をしたが,てっきり単純性血管腫であろうと思っていたら,数週間の間にみるみる盛り上がってきて,結果としては誰がどう見ても典型的な苺状血管腫であった.来る日も来る日も,絶え間なく訪れる数多くの患者さんの早期の発疹から「これはひょっとして…?」と難治性疾患や重篤な疾患を疑い,悩み考えた末に紹介してくださる開業の先生方の苦労がわかり,皮膚科医として少しだけ成長した気がする今日この頃である.
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