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1. はじめに
「市中病院での膠原病診療における皮膚科の縄張り—皮膚科医がどこまでみるべきか?」というテーマで私見を述べる機会を頂いた.その際,なぜ市中病院なのだろう? という感想を持った.多くの大学病院には膠原病内科やリウマチ内科(欧米ではリウマチ疾患を扱う医師はRheumatologistであり,…内科という標榜はないが)などの講座が存在し,皮膚科が縄張りを主張できる部分がすでに確立しているもしくは限られているからであろうか? またさまざまな内臓合併症を有する膠原病をクリニックでケアしようと考えると他科との連携の面で困難も多いと思われる.とすれば,出番は市中病院である,がんばれ市中病院! ということであろうか.本稿依頼の意味は日々臨床に汗を流している市中病院部長へのエールの機会であると私は考えた.膠原病内科やリウマチ内科はそのほかの内科分野に比較して小規模であることが多く,市中病院に複数の医師を派遣することが難しく,特に地方では,膠原病関連の標榜のある市中病院は多くないと思われる.筆者の所属する中京病院は名古屋市内にあり,名古屋市内の市中病院での膠原病標榜の有無について調査したことがある.平成23年(2011年)の調査ではあるが,名古屋市内の132病院で膠原病・リウマチを標榜する専門外来標榜を有する病院はたった11病院のみであった.このような状況下では患者は医療機関・診療科の選択に迷い,早期に適切な診察を受ける機会を失していることも予想される.また市中病院内で内科や外科などのいわゆるメジャー科に比較して皮膚科はどうしてもマイナーな存在になり,皮膚科勤務医の減少,モチベーションの低下が叫ばれるなかで,膠原病診療における縄張りの主張はチャンスと捉えるべきであると私は考えている.
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