Derm.2016
いわゆる皮膚科医にならないための明日の皮膚科医になるために
西田 絵美
1
1名古屋市立大学医学部加齢環境皮膚科学
pp.166
発行日 2016年4月10日
Published Date 2016/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412204772
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2004年の新医師臨床研修制度が始まった年に研修医となったが,そのときには以前より興味のあった小児科医を目指していた.その頭の中には,医者になったのだからやっぱりメジャーな科でないと,という思いもあったのかもしれない.しかし研修医2年目に回った皮膚科研修で,診ただけでわかる皮膚科に魅力を感じ,これをやりたいと思い皮膚科に決めた.しかしその裏で皮膚科=ラクと思われるような,いわゆる皮膚科医にはなりたくないという気持ちも強かった.ところがいざ皮膚科を選択してみると,思った以上に難しく,いつになったら自分が憧れた皮膚科医の姿になれるのかわからなくなっていた.そして大学院へ入り研究を始めると,そんなことも忘れかけていたが,そのときに言われたのが,「臨床をより高いレベルから眺め,考えるために研究をする」という言葉だった.この言葉のおかげでつらい大学院生活は乗り越えることができ,やりたかった臨床へのステップなんだと思えるようになった.そして皮膚科医となって10年を超えた今,明日の皮膚科医になるために何が必要か考えてみる.どんどんと進歩する医療についていけるような猛烈な知識量,技術,そして何よりも忘れてはいけない医師としての態度を養うことがいかに重要なのかを感じるようになった.当科のホームページには,“皮膚科のことなら何でも”協力できるような幅広い診療体制を構築すると書いてある.皮膚科は専門性が高い分野と考えられているが,それはただ専門分野ができるということではなく,皮膚科のことならなんでもできるプロフェッショナルがいる科なのではないか.
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