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1. 皮膚科医は,重症薬疹の診断と治療に専門性を大いに発揮しよう!
生命予後が危惧される,あるいは失明など重篤な後遺症を遺しやすい薬疹はもちろん,発疹が全身の皮膚粘膜に及んで入院治療が必要な程度以上に重篤な薬疹を総じて重症薬疹と呼び,Stevens-Johnson症候群(Stevens-Johnson syndrome:SJS:皮膚粘膜眼症候群),中毒性表皮壊死症(toxic epidermal necrolysis:TEN,Lyell症候群),薬剤性過敏症症候群(drug-induced hypersensitivity syndrome:DIHS),多形紅斑型薬疹(erythema multiforme:EM)等が該当する.医薬品副作用被害に対して救済給付を行う医薬品医療機器総合機構(Pharmaceuticals and Medical Devices Agency:PMDA)の医薬品副作用被害救済制度の平成25年(2013年)度集計では,救済対象となった副作用被害は皮膚科領域の副作用(=重症薬疹)が全体の32%と圧倒的に多く,その内訳はDIHS 23.6%,EM 23.0%,SJS 14.6%,TEN 14.0%であった.平成21年(2009年)度集計では副作用全体の27%が皮膚科領域,内訳はSJS 22.8%,DIHS 19.5%,TEN 19.3%であった.近年PMDAに対する救済申請が増加するなかにあって重症薬疹事例が急増しており,DIHSならびにEMの増加とSJS/TENの相対的減少が目につく.これは多くの皮膚科医が重症薬疹の診断と治療,救済申請用診断書作成に積極的に尽力した結果であり,関係者の一人として誠に喜ばしく思う.
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