Derm.2015
皮膚科学の教科書
永井 宏
1
1神戸大学医学部皮膚科
pp.175
発行日 2015年4月10日
Published Date 2015/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412204440
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各大学で医学教育のカリキュラムは異なると思うが,神戸大学では4年次に系統講義を含むチュートリアル,5年次にBSL(bed side learning)となっている.BSLは,いわゆるポリクリで,数名ずつが1つの班になって各診療科を1〜2週単位で実習を行う.現在,私が皮膚科の教務担当でもあるため,BSLの外来見学時に各自の教科書を持って臨むよう学生に伝えるのだが,多くの学生はマイナー科の内容が1冊にまとまったような国試対策の本しか持っておらず,皮膚科学の教科書を持っている学生はほとんどいない.なかには系統講義の配布資料をきれいにファイルして教科書代わりにしているという学生もいて,それはそれで悪い話ではないのだが,カラー写真など一切なくとうてい教科書の代わりにはならない.自分が医学生であった頃は,各科1冊ずつは教科書を購入して,講義や実習に臨んだものだが,今はインターネットで何でも情報が手に入る時代であり,タブレットのみを持参してくる学生も見かける.最近の皮膚科学の教科書は鮮明なカラー写真も多く,多色刷りとなり,基礎知識の少ない医学生にとっても非常に理解しやすい内容になっていると思う.新しいBSLの班になるたびに,実習の期間だけでも図書館で皮膚科学の教科書を借りて実習に臨むように指導している.患者さんの皮疹を目の当たりにすることに加えて,総論・各論の内容や臨床写真が充実している教科書にできるだけ多く目を通してもらうことで,皮膚科学の奥深さを少しでも多く感じてほしいと期待している.
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