巻頭言
—新時代の皮膚科学—
川村 龍吉
1
Tatsuyoshi KAWAMURA
1
1山梨大学医学部皮膚科学講座,教授
pp.425-426
発行日 2021年4月1日
Published Date 2021/4/1
DOI https://doi.org/10.18888/hi.0000002476
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日本のバブル経済崩壊の頃に皮膚科医になってから,あっという間に30年経つ。学問としても診療科としても皮膚科はとても面白いが,これまで長らく診療を行ってきたなかで唯一不満に思ってきたことがある。それは皮膚科における薬物治療の選択肢の少なさである。ステロイドの外用・内服や効果に乏しい抗癌剤などによる治療を繰り返す日々には正直やや辟易としていたが,近年ついにその不満が解消される—新時代—が訪れつつある。「失われた30年」とまでは言わないが,これまで自分が歩んできた皮膚科医人生を振り返るとどうしてもっと早くこの時代が訪れなかったのかと悔しさすら感じるが,と同時に,あれこれと治療法の選択に悩んでいる昨今の若い皮膚科医たちの姿を見ていると本当にうらやましくて仕方がない。無論,彼らは私の若いころより知識として覚えなければいけないことが何倍も多くなっているが,その分救える患者・治せる患者は何十倍も多いだろうし,今後はもっと凄い速度で治療選択肢も増え続けていくだろう。
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