Derm.2009
皮膚科学における芸術性
山口 裕史
1
1名古屋市立大学大学院加齢・環境皮膚科学
pp.141
発行日 2009年4月10日
Published Date 2009/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412102310
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「State-of-the-art」という言葉がある.「最新の」という意味で,学会などで見受けられる.「art」の訳には「技術」よりは「芸術」が真っ先に思い浮かぶ.このコラム執筆機会を頂戴し,皮膚科学と芸術との意外な共通項が見えてきた.
芸術には興味がある.幼い頃から絵画教室に通い入選した作品も多く,芸大への進学を考えた時期もある.医学部卒業時は,芸術的手術に憧れ形成外科に入局した.妹夫婦はアトリエグラディスというステンドグラス工房を営んでいる.職人的な伝統手法のなかに芸術性の高い斬新なデザインも取り入れており,見ていて飽きない.芸術に造詣の深い皮膚科医は意外と多い.論理的・客観的・絶対的な科学と感覚的・主観的・相対的な芸術とは共通項がないように思うかもしれないが,皮膚科学は外見,特に色彩・質感に強く訴えかける学問である.論文執筆や学会発表の際も,芸術性が要求されることが見えてくる.残念ながら,私の論文・発表を見聞きして下さった先生方は,その芸術性に全く気付かれなかったかもしれない.パワーポイントを使いこなせず稚拙だが,私なりには最大限努力した納得のいく芸術作品である.拘っている点を紹介する.
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