Derm.2015
医局を移ってみたら
藤井 一恭
1
1鹿児島大学医学部・歯学部附属病院皮膚科
pp.146
発行日 2015年4月10日
Published Date 2015/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412204428
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縁があって平成26年4月に岡山から鹿児島に転居しました.同じ西部支部内での大学病院から大学病院への異動で診療科も変わっていないのですが,驚かされることも多くあります.まず同じ皮膚疾患でも経過や頻度が異なるように思います.例えばSchönlein-Henoch紫斑病では症状をこじらせてしまう患者さんが多いと思いますし,日光角化症や有棘細胞癌のような紫外線との関連が疑われるような悪性腫瘍や成人T細胞リンパ腫のようなウイルスの保因者に地域性のある疾患だけではなく,皮膚筋炎や強皮症などのような膠原病も頻度が高い印象を受けます.その一方で,これは鹿児島大学病院の立地条件や当院が完全予約制であることが大きく関与していると考えますが,尋常性疣贅や足白癬,帯状疱疹といったいわゆるcommon diseaseを診ることは本当に少なくなりました.大学病院で診なくてはならない疾患と大学病院でなくても治療ができる病気があることは確かなのですが,教育機関としてそれで良いのかとも思います.
また医局が変わればいろいろな仕組みや,しきたりも異なったものになります.カンファレンスのやり方も違いますし,臨床写真の撮り方や病理所見の読み方も微妙に異なります.使わなくなった(使わないように気をつけている)所見の用語や診断名もあります.初めて聞く検査名が当然のように提出されていたこともありましたし,ほとんど使っていなかった薬が頻繁に使われている一方で,これまで頻用していた薬剤がほとんど処方されていないということもありました.
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