Japanese
English
今月の症例
胸部鎧状癌(粘液癌)の1例—乳腺の粘液癌の皮膚転移
A Case of Cutaneous Metastasis of Carcinoma (Mucinous Carcinoma) of the Breast
檜山 清水
1
,
小野 真理子
1
,
吉田 寛子
1
,
後藤 裕美
1
,
小林 伸子
1
Kiyomi HIYAMA
1
,
Mariko ONO
1
,
Hiroko YOSHIDA
1
,
Hiromi GOTO
1
,
Nobuko KOBAYASHI
1
1帝京大学医学部附属溝口病院皮膚科
1Department of Dermatology, University Hospital, Mizonokuti, Teikyo University School of Medicine
キーワード:
鎧状癌
,
粘液癌
Keyword:
鎧状癌
,
粘液癌
pp.905-910
発行日 1989年8月1日
Published Date 1989/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412204185
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粘液癌(膠様癌)は特異な組織所見を呈する癌である.今回われわれは鎧状癌の症状を呈した乳腺の粘液癌の皮膚転移の1例を経験し,本邦の皮膚科領域での第1例と考えられたので報告する.症例:73歳,女性.8年前に乳癌のため乳房切断術を受けた.気管支炎様症状で入院したが,手術瘢痕部とその周囲に板状の硬結と多数の丘疹を生じた.丘疹には膠様稗粒腫様外観を呈するものがあった.左鎖骨上窩リンパ節が腫大.組織像で,真皮上層に多数の大小の嚢腫様構造が存在し,その中に見られる癌細胞はHE染色で淡紅色,Alcian-blue,PAS,ムチカルミン染色で陽性.真皮中・下層の膠原線維間に小型の嚢腫様構造と粘液変性細胞(癌細胞)を混在する帯状の細胞浸潤が認められた.この所見から,原発巣の乳癌の組織は入手できなかったが,原発巣の乳癌は粘液癌と推察された.患者は1年半後に死亡したが,剖検はなされなかった.胸部に発生した鎧状癌,乳腺の粘液癌と皮膚粘液癌について若干の検討を行った.
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