Japanese
English
症例報告
足底表皮嚢腫とヒト乳頭腫ウイルス感染—特異なウイルス性足底疣贅合併例を中心として
Plantar Epidermal Cyst and Human Papillomavirus Infection, Especially About the Case with Complications of Peculiar Plantar Viral Warts
鈴木 秀明
1
,
森嶋 隆文
1
,
花輪 滋
1
,
今川 一郎
Hideaki SUZUKI
1
,
Takafumi MORISHIMA
1
,
Shigeru HANAWA
1
,
Ichiro IMAGAWA
1日本大学医学部皮膚科学教室
1Department of Dermatology, Nihon University School of Medicine
キーワード:
足底表皮嚢腫
,
角化性斑状疣贅
,
好酸性封入体
,
ヒト乳頭腫ウイルス
Keyword:
足底表皮嚢腫
,
角化性斑状疣贅
,
好酸性封入体
,
ヒト乳頭腫ウイルス
pp.111-116
発行日 1989年2月1日
Published Date 1989/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412204039
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ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)抗原陽性の表皮嚢腫の13歳女例と20歳,男例を報告した.本邦報告例について統計的観察を試み,本症の特徴は次のごとく要約された.1)臨床所見:若年者の足底,殊に右側で,外力が加わり易い中足骨骨頭周辺,踵底面や拇趾球部に好発する嚢腫病変である.周囲にウイルス性疣贅を合併する例がある.2)病理組織学的所見:嚢腫内腔の角層内に多数の空胞細胞様構造物と,顆粒層ないし有棘層中層に好酸性封入体を有する細胞の出現がみられる.3)免疫組織化学的所見:HPV抗原は空胞細胞様構造物と顆粒層およびその直下の好酸性封入体を有する細胞の核に局在していた.興味あることは13歳,女例では嚢腫病変周辺部に臨床的には通常の足底疣贅と異なり,病理組織学的,免疫組織化学的には嚢腫壁と同様所見を呈する角化性小斑がみられたことである.HPV抗原陽性の足底表皮嚢腫の発症機序は,HPV感染表皮が外力で真皮内に埋没し,形成されたものと考えられた.
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