Japanese
English
原著
乳頭腫ウイルス抗原陽性を呈した足底表皮嚢腫の1例
A Case of Plantar Epidermal Cyst Showing Papillomavirus Antigen
佐藤 貴浩
1
,
折田 正人
1
,
勝俣 道夫
1
Takahiro SATO
1
,
Masato ORITA
1
,
Michio KATSUMATA
1
1東京医科歯科大学医学部皮膚科教室
1Department of Dermatology, Faculty of Medicine, Tokyo Medical and Dental University
pp.169-172
発行日 1988年2月1日
Published Date 1988/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412203843
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
9歳,男児の左足底拇趾球部に生じた16×16mm大の表皮嚢腫の1例につき病理組織学的に検討したところ,嚢腫壁の表皮側のほぼ半周に亘る部分で,壁の内腔側に類円形から不整形の好酸性無構造物質を認め,また嚢腫壁のほぼ全層に亘って同様の好酸性無構造物質を胞体内にもつ明るい細胞が混在していた.さらに同部のケラチン様物質内に多数の空胞様構造を認めた.ABC法による乳頭腫ウイルス抗原の検索を行ったところ,後二者において陽性の所見を得た.過去10年間に当科で経験した足底表皮嚢腫9例について再検討したが,同様の構造を認めた症例はなく,またこの例では初診の約2年前に両足底に疣贅様皮疹があったこと,同部を打撲した既往もあることから,乳頭腫ウイルスが偶発的に嚢腫内に侵入したものと考えられた.
Copyright © 1988, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.