Japanese
English
原著
食道粘膜剥離を生じた尋常性天疱瘡,殊に表層性解離性食道炎について
Pemphigus Vulgaris Associated with Desquamation of Esophageal Mucosa--Esophagitis Dissecans Superficialis
斉藤 範夫
1
,
鈴木 秀明
1
,
樋口 由美子
1
,
花輪 滋
1
,
森嶋 隆文
1
Norio SAITO
1
,
Hideaki SUZUKI
1
,
Yumiko HIGUCHI
1
,
Shigeru HANAWA
1
,
Takafumi MORISHIMA
1
1日本大学医学部皮膚科学教室
1Department of Dermatology, Nihon University School of Medicine
pp.909-914
発行日 1988年10月1日
Published Date 1988/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412203974
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表層性解離性食道炎の基礎疾患が尋常性天疱瘡であった27歳,女性例を報告した.尋常性天疱瘡患者における食道粘膜吐出例の特徴は以下のように要約される.1)いずれも女性罹患例である.2)吐出時,口腔粘膜病変をみるのみで,皮膚病変は略治の状態である.3)前駆症状として悪心・嘔吐,咽頭痛,胸骨痛や嚥下困難などがみられ,突然,紐様構造物を吐出し,吐出後に出血やショック症状はみられない.4)吐出物は全長25〜30cm,灰白色,半透明,薄膜様,紐状ないし筒状の構造物である.5)病理組織学的には基底層あるいはその直上より剥離した重層扁平上皮で,棘融解細胞を認め,免疫病理学的には粘膜上皮細胞間にIgGの沈着を認める.6)血中抗表皮細胞間抗体価は一般に低値である.7)コルチコステロイド内服に速やかに反応し,約2週後に上皮化する.
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