Japanese
English
原著
尋常性膿瘡の1例
A Case of Ecthyma Vulgare
河島 岳史
1
,
宮野 径彰
1
,
徳田 安章
1
Takeshi KAWASHIMA
1
,
Michiaki MIYANO
1
,
Yasuaki TOKUDA
1
1東京医科大学皮膚科教室
1Department of Dermatology, Tokyo Medical College
pp.853-857
発行日 1986年9月1日
Published Date 1986/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412203530
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症例は21歳男.初診の4カ月前より右大腿に拇指頭大の痂皮に覆われた潰瘍が出現,軽快増悪を繰り返すうち,2カ月前より右下肢全体に拡大多発するに至り当科受診.初診時,痂皮の下に膿を容れるスプーン状の潰瘍が右大腿中心に多発.Streptecoccus pyogenes(S. pyogenes)とStaphylococcus aureus (S. aureus)の2菌種を検出.白血球増多,左方移動,CRP軽度上昇を認めるが,血沈,ASOは正常範囲.組織は深膿痂疹として典型で,表皮から真皮浅層の化膿性炎症で,血管炎,肉芽腫の所見はない.抗生剤の全身投与と局所療法,入院安静にて約3週間で色素沈着を残して治癒し検査値も正常化した.再発はない.免疫能,消化器系にも異常なく,経過からも尋常性膿瘡と診断.本症は昨今稀になりつつあり,さらに稀有な多発型と考え報告した.
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