Japanese
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特集 婦人の皮膚泌尿器科疾患
尋常性痤瘡
ACNE VULGARIS.
久木田 良子
1
Yoshiko KUKITA
1
1資生堂化学研究所
1Shiseido Chemical Research Institute.
pp.1003-1007
発行日 1959年10月1日
Published Date 1959/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491202650
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尋常性痤瘡(以下痤瘡と略す)は思春期に於いて,その症状の軽重を問わなければ,全然経験しなかつた者は無いと云つてよい程周知の疾患であつて,真の罹患率は男女間に差がないにも拘らず,長期間通院受療する者は女子が多い。青年期女子の顔面の慢性皮膚疾患は,主に美容的見地から精神的に影響する所が大で,患者の抱く劣等感は想像以上である。
痤瘡は顔面播種状結核疹,レワンドフスキー氏酒皶様結核疹,毛嚢虫性痤瘡等とは一見容易に鑑別診断を下し得る場合が多い。既往歴の問診,個個の症状,経過によつて,各種の医療,食餌,睡眠,皮膚の衛生等日常生活上の注意の忍耐強い厳守とによつて治療し,再発せぬ場合もあるが,一向にこれらの治療に反応しない症例にたまたま遭遇する。このような症例の中には,経過を注意深く観察すると,痤瘡という診断から除外すべきものが見受けられる。それは痤瘡の必発症候である脂漏と,面皰とを欠如し,細かい毛嚢性炎症で,軽度の掻痒或いは疼痛を伴つている。多くは表在性であるが,時には深い膿疱を形成することもある反復性,多発性毛嚢炎1)である。これらの多くのものは比較的軽度の毛嚢炎である為積極的な化膿性炎症に対する治療が行なわれないか,或いは徹底しないため一般的な痤瘡治療では治癒しない。
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