Japanese
English
原著
カプトプリル,チオプロニン,スピロノラクトンおよびシアナマイドによる苔癬様皮疹
A Case of Lichenoid Eruption Induced by Captopril, Tiopronin, Spilonolactone and Cyanamide
池澤 善郎
1
,
金 秀沢
1
,
正岡 敦嘉
1
,
黒沢 伝枝
1
,
宮本 秀明
1
Zenro IKEZAWA
1
,
Shutaku KIN
1
,
Atsuyoshi MASAOKA
1
,
Tsutae KUROSAWA
1
,
Hideaki MIYAMOTO
1
1横浜市立大学医学部皮膚科教室
1Department of Dermatology, Yokohama City University School of Medicine
pp.21-27
発行日 1986年1月1日
Published Date 1986/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412203380
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要約 カプトプリル,チオプロニン,スピロノラクトンおよびシアナマイドによる苔癬様皮疹の1例を経験した.患者は48歳の男性で,高血圧症,肝障害,糖尿病,うつ病,不眠症および飲酒癖に対して14種類に及ぶ多種薬剤を服用していた.約3カ月半位して左下腿より瘙痒性の紅色皮疹出現,漸次全身に拡大,口腔内に粘膜疹を併発した.肉眼的,組織学的に典型的な扁平苔癬様皮疹であった.投与薬剤の中止により皮疹は徐々に軽快,誘発試験により上記4薬剤が原因薬剤であることが判明した.苔癬様薬疹の発症までに3カ月半以上の原因薬剤の服用を必要としたにもかかわらず,誘発試験では4薬剤のどれも24時間以内に古い皮疹の再燃ないし新しい皮疹の出現がみられた.さらに貼布試験でも,これら薬剤に対して接触過敏反応が認められた.苔癬様薬疹の発症機構に遅延型過敏反応が関与していることを示唆する興味ある症例と考え,若干の考察を加えて報告した.
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