Japanese
English
原著
Pseudocyst of the Auricleの2例
Two Cases of Pseudocyst of the Auricle
滝野 長平
1
,
古井 良彦
1
Chohei TAKINO
1
,
Yoshihiko FURUI
1
1九段坂病院皮膚科
1Division of Dermatology, Kudanzaka Hospital
pp.905-909
発行日 1983年10月1日
Published Date 1983/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412202924
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2年間に経験した2例について報告した.ともに男性(51歳,46歳),片側例で,部位は左三角窩と右舟状窩であった.組織学的に本体は最内壁が線維性組織からなる偽嚢腫で軟骨内に位置することを確認した.1例に施行した内容液の生化学的検索では,血清に比し多くは低値を示したが,A/G比・GOT・LDHのみは高値を示し,とくにLDHは5.6倍を示した.天蓋部の一部を切除・縫合・圧迫,1例ではヨードチンキの内壁塗布の追加で変形を残すことなく治癒せしめた.自験例を含む本邦報告14例と欧米例10例についての臨床事項の比較では,男性好発・片側優位などは共通したが,発症年齢は本邦例でより高年齢に生じる傾向がみられた.本症の報告例は内外共に少なく,未だ発症機序に不明な点も多く,また本症の自然経過も明らかにされていないことなどは独立症としての地位を危うくするものであり,今後の症例の積み重ねと一層の研究が必要であることを述べた.
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