Japanese
English
原著
悪性血管内皮腫の剖検例
An Autopsy Case of Malignant Hemangioendothelioma
松永 悦治
1
,
小林 與市
2
,
西岡 清
2
,
佐野 榮春
2
Etsuji MATSUNAGA
1
,
Yoichi KOBAYASHI
2
,
Kiyoshi NISHIOKA
2
,
Shigeharu SANO
2
1大分医科大学皮膚科教室
2大阪大学医学部皮膚科教室
1Department of Dermatology, Medical College of Oita
2Department of Dermatology, School of Medicine, Osaka University
pp.441-446
発行日 1983年5月1日
Published Date 1983/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412202840
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79歳,男子.初診約2カ月前から,何ら誘因なく右頭頂部の出血と小豆大の疣状結節をきたした.入院時,左前頭部に7×4cmの血痂に被われた浅い潰瘍,および右頭頂部に4×4cmの硬い痂皮に被われた暗赤色の皮面より軽度隆起した結節と,小指頭大以下の境界明瞭な淡紅色斑が散在.生検組織では,真皮上層に多数の出血巣と,赤血球をいれた管腔を形成する腫瘍細胞の増殖を認めたので,悪性血管内皮腫と診断.頭皮全体に腫瘍病巣が撒布されていることと高齢の為,手術不可能と判断して放射線療法(コバルト,リニアク)を施行した.潰瘍部は上皮化したが,痂皮に被われた腫瘤はほとんど変化しなかった.放射線療法を繰り返し施行したが腫瘍は増大し,初診より1年後,血小板減少とともに,肺転移によると考えられる左肺の血気胸をきたして死亡.剖検所見では,悪性血管内皮腫の左肺舌区と右肺下葉への転移が認められた.
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