今月の表紙
悪性血管外(周)皮腫
都竹 正文
1
,
古田 則行
1
,
坂本 穆彦
2
1癌研究会附属病院細胞診断部
2東京大学医学部病理学教室
pp.991
発行日 1994年11月1日
Published Date 1994/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902166
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毛細血管や毛細管後小静脈の外側をらせん状に取り巻くZimmermannの血管周皮細胞pericytesから発生する比較的まれな腫瘍で,各年齢にみられるが,成人に多く男女差はない.骨や内臓を含む各部位に生ずるが,軟部組織の深部にできることが多く,なかでも下肢,特に大腿部,頭頸部に多く,そのほか上肢や後腹膜にも発生する.
病理組織所見は,1層の正常に近い内皮細胞で覆われた不規則な形をした血管腔(シカの角staghornに似る)とその周囲に多層性に配列する大きさの均一な小型類円形あるいは短紡錘形細胞より構成される.核分裂像は決して多くはないが認められる.これらの細胞境界は不鮮明なことが多い.短紡錘形細胞が主体を成す場合には核が柵状に配列して神経鞘腫に似ることがある.また本腫瘍に類似した組織像は,他の軟部悪性腫瘍,特に悪性線維性組織球腫(MFH),滑膜肉腫,平滑筋肉腫,間葉性軟骨肉腫など,その部分像としてみられることがあり鑑別を要する.
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