連載 皮膚病理の電顕・18
付属器腫瘍(Ⅶ)—エクリン汗腺分泌部の癌(1)
橋本 健
1
Ken Hashimoto
1
1Department of Dermatology, Wayne State University School of Medicine
pp.1234-1237
発行日 1982年12月1日
Published Date 1982/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412202762
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前回まではエクリン汗腺の導管部,特にその表皮内終末部より由来,またはそれに類似の分化を示す癌につき記述した.細胞があればそれの腫瘍化した状態があり(例えばリンパ球→リンパ腫),組織があればそれの癌化した状態があってよい.従って,エクリン汗腺の分泌部の悪性化した腫瘍が考えられる.分泌部腫瘍の分類には,研究者によりいろいろな方法が提唱されている.三島と神畠1)は,この部分に向った分化を示す悪性腫瘍をeccrine spirocarcinomaと呼んでいる.実際に遭遇する分泌部癌は光顕のレベルでも多様な分化を示し,腺癌(adenocarcilloma),明調細胞癌(clearcell eccrine carcinoma),粘液性癌(mucinouseccrhle carcinoma),更に分泌部と導管部の混在する汗管腫様癌(syringoid eccrine carcinoma)などに分類されているが,これらに当てはまらない例も多い.
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