連載 皮膚病理の電顕・17
付属器腫瘍(Ⅵ)—エクリン汗口癌
橋本 健
1
Ken Hashimoto
1
1Department of Dermatology, Wayne State University School of Medicine
pp.1126-1130
発行日 1982年11月1日
Published Date 1982/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412202746
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付属器腫瘍の分化の程度を示す基準としてnevus(organic),ncvoid(organoid),adenoma,epithelioma,carcinomaの順位を設定することは前に述べた1).付属器腫瘍とは各付属器のいろいろな部位から発生,またはその部位に向って分化してゆく腫瘍であり,例えば汗管腫は真皮内導管部で表皮に近い部分に類似の分化を示し1),エクリン汗口腫は表皮内導管部,即ちacrosyringium(終末導管部)に向った分化を示す2).それでは付属器の各々の部分に類似するnevus→carcinomaがあるのであろうか3)? エクリン汗口腫は,その分化の程度からエクリン汗腺の終末導管部の上皮腫(epithelioma)と見做されるが2),その一歩前進した癌が存在する.これがエクリン汗口癌(eccrinc porocarcinorna)4-9)である.
図46A 脛骨部に隆起した結節がみられる.表面は潰瘍化していたが,この写真の血痂を伴う潰瘍は生検によるものである.好発部位は四肢(特に下肢),顔面,頭部で,転移を起すが初発疹は単発である10).表在性のリンバ管を介して表皮内に侵入し,パジェット様に拡大してゆくepidcrmotropic metastasisがみられることもある5,11,12).エクリン汗腺の癌はその全種類を合わせても非常に稀なものである(14,000の生検材料中1例)13)が,その中では汗口癌が約半数を占める13).
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