Japanese
English
原著
SLEと中枢神経障害—痙攣発作と脳萎縮を起こした1例
Systemic Lupus Erythematosus and Brain Atrophy: A Case Report
堀越 貴志
1
,
本間 光一
1
,
神保 孝一
1
Takashi HORIKOSHI
1
,
Kowichi HONMA
1
,
Kowichi JIMBOW
1
1札幌医科大学皮膚科学講座
1Department of Dermatology, Sapporo Medical College
pp.253-257
発行日 1982年3月1日
Published Date 1982/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412202598
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SLEの中枢神経障害は,多彩な精神神経症状を呈し,予後も重篤であることが多い.患者:30歳,女子.SLEで入院加療中,突然,寡黙,見当識障害,軽度の痴呆状態を呈し,数日後に,全身痙攣発作を起こし昏睡状態に陥った.その後,意識障害,脳萎縮を残した.頭部CTスキャンで,両側前頭葉白質,左側頭葉実質および左内包後脚部の低吸収域と,脳室,脳溝の拡大を認め,脳波では,α—波は認められず,low voltage, slow waveが主体で,広汎な脳機能低下を示した.臨床的には,視野失認,発語障害,構語障害,失語症,難聴および右下肢の軽度の尖足を残した.SLE患者では,精神神経症状が,臨床的に出現する以前から,微細な脳血管炎に基づく脳実質病変が進行している可能性があり,事前に脳波,CTによる検索を実施し,早期診断および治療に結びつける必要があることが示唆された.
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