私の経験例
SLEによる痙攣発作
田中 亮一
1
1阪大病院第4内科
pp.2019
発行日 1977年12月5日
Published Date 1977/12/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207583
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患者は48歳の女性で主婦.主訴は全身性痙攣発作.家族歴,既往歴は特記すべきことなし.現病歴としては,昭和49年春頃,手の関節のこわばりに気づく.5月初旬より37℃台の微熱持続した.この頃,家庭内で心労が多かった.6月中旬夕方突然全身強直性痙攣,続いて昏睡状態となり近医に緊急入院.昏睡は約2時間持続した.3日後当院転院.身長160cm,体重45kgの神経質な婦人.意識は清明で,体温37.5℃,血圧124/64mmHg,両側耳下腺触知,腋窩,鼠径部リンパ節触知,関節はとくに異常なし.神経学的にも異常を認めなかった.入院後の検査にて,尿蛋白(±),沈渣異常なし.貧血,白血球減少,血沈亢進,γ-グロブリン高値を認め,膠原病の存在を疑わしめたが,ワ氏反応,抗甲状腺抗体,RA,ANF,LEテスト,LE細胞現象は陰性であった.痙攣発作は入院後みられず,神経学的所見に乏しく,脳脊髄液も正常,脳波にて時に徐波を認めるも特有のスパイクはなく,入院前に家庭内での心労が重なっていたことより,痙攣の原因をpsychogenic reactionと考えた.耳下腺を触知したことよりSjögren病を疑った.自覚的に乾燥症状は著明でなかったが,唾液腺造影にて拡大像を認め,Sjögren病疑いの診断のもとにステロイド療法を開始した.退院後,調子がよいため,またステロイドの副作用を懸念し勝手に内服を中止し,通院しなくなった.
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