Japanese
English
原著
偽腺様有棘細胞癌(Pseudoglandular Squamous Cell Carcinoma)の1例—瘢痕部に生じ、老人性角化腫からの移行を思わせた症例
A Case of Pseudoglandular Squamous Cell Carcinoma
窪田 泰夫
1
,
斎田 俊明
1
,
大原 国章
2
Yasuo KUBOTA
1
,
Toshiaki SAIDA
1
,
Kuniaki OOHARA
2
1東京大学医学部附属病院分院皮膚科
2東京大学医学部皮膚科
1Department of Dermatology, Tokyo University Branch Hospital
2Department of Dermatology, Tokyo University Medical School
pp.999-1007
発行日 1981年11月1日
Published Date 1981/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412202524
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78歳,女子.数年前より頭部の瘢痕部に自覚症のない小疣贅様皮疹が生じ,昭和55年7月よりその1つが次第に隆起,増大した.初診時22×18×8mm表面凹凸不整,淡紅色弾性硬の半球状腫瘤を認める.組織学的には腫瘍全体に腺腔様構造を示し,内腔にはacantholytic, dyskeratotic cellを容れる.また腫瘍辺縁部には老人性角化腫の像もみられ,移行を思わせた.昭和43年から昭和55年までの本邦報告20例を集め,統計的考察を行った.さらにPAS, Al-blue染色で腫瘍細胞および腔内無定型物質に陽性所見を得たので,組織化学的検索の1つとして腫瘍組織中の酸性ムコ多糖をアセテート膜二次元電気泳動を用い分析した.その結果,正常皮膚になかったC4Sがみられ,正常部と比しHA量の増加が著明であった.このことから本症の管状・腺様構造の意義に関し,若干の考察を加えた.
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