Japanese
English
原著
ペニシラミン服用中に生じた蛇行性穿孔性弾力線維症について
Elastosis Perforans Serpiginosa Probably Induced by Penicillamine
森嶋 隆文
1
,
八木 茂
1
,
遠藤 幹夫
1
Takafumi MORISHIMA
1
,
Shigeru YAGI
1
,
Mikio ENDO
1
1日本大学医学部皮膚科学教室
1Department of Dermatology, Nihon University School of Medicine
pp.47-52
発行日 1979年1月1日
Published Date 1979/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412202006
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Wilson病のために,1日2gのペニシラミン服用7年後に肘頭,膝蓋,腎部に栄養障害型表皮水疱症様病変を,さらに1日1.0gに減量5年後に頸部に蛇行性穿孔性弾力線維症の発現をみた23歳の男子例を報告した.本例における蛇行性穿孔性弾力線維症は臨床的には典型的であるが,病理組織学的には真皮全層の弾力線維にぶどうの房状の変性像を証しうる点特異であった.ペニシラミン減量後,表皮水疱症様病変の軽快をみたことから,同病変の程度はペニシラミンの服用量と相関し,またある程度可逆性であることを示唆する.以上の皮膚病変の病態はペニシラミン長期連用によって惹起された局所的銅欠乏症に基づくコラーゲンおよびエラスチンの成熟化の障害による皮膚の脆弱性であると推測された.なお,銅欠乏による血管系病変出現の可能性についても論じた.
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