Japanese
English
原著
D-ペニシラミン服用中の慢性関節リウマチ患者に生じた天疱瘡様皮膚病変
Pemphigus-like Cutaneous Lesions Induced by D-Penicillamine
荻野 篤彦
1
,
今村 貞夫
1
,
若井 淑人
1
Atsuhiko OGINO
1
,
Sadao IMAMURA
1
,
Yoshito WAKAI
1
1京都大学医学部皮膚科学教室
1Department of Dermatology, Faculty of Medicine, Kyoto University
pp.39-43
発行日 1979年1月1日
Published Date 1979/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412202005
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要約 患者は55歳の女性で,6年前より慢性関節リウマチに罹患し,6ヵ月前よりD-ペニシラミン600mg/日を内服していたところ,初診の10日前より四肢と腹部に瘙痒性の多形紅斑様の皮疹が多発し,その上に直径5mmまでの小水疱および小指頭大のびらん面を生じた.副腎皮質ホルモン剤内服と外用を試みたが紅斑,小水疱の新生は約1ヵ月くらい続き,D-ペニシラミンを中止して1週間後に皮疹の新生は止った.小水疱は組織学的に表皮内水疱であるが,棘融解は認められない.螢光抗体法直接法で病変部の表皮細胞間にIgGの沈着をみたが,間接法では血清中の抗表皮細胞間物質抗体は陰性であった.D-ペニシラミン服用中の患者に天疱瘡様皮膚病変を生じた症例はまだ本邦において報告をみない.D-ペニシラミンは抗表皮細胞間物質抗体のみならず,抗核抗体など自家抗体を産生しやすい薬剤の1つに挙げられている.
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