原著
Warty dyskeratoma
中野 和子
1
Kazuko NAKANO
1
1大阪市立大学医学部皮膚科教室
1Department of Dermatology, Osaka City University Medical School
pp.605-608
発行日 1977年8月1日
Published Date 1977/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412201771
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
74歳,女性の右手背部拇指側にみられたwarty dyskeratoma の症例を報告した.
皮疹は10×12×2mm大,弾性硬の黒褐色腫瘍で,組織学的には表皮に著明な角質増殖があり,その底部では基底層直上部に裂隙を生じ,この裂隙には絨毛の突出を見,また棘融解をおこしたacantholytic cellと共に良性異常角化を示すdyskeratotic cellが多数みられた.本腫瘍と毛包との関係は認められなかつた.以上よりwarty dyskeratomaと診断した.本症はDarier病との関係,またDarier型角化異常を伴う老人性角化腫との異同が問題となる.しかし臨床的に単発で孤立性に生ずる腫瘍でDarier病とは異なり,また組織学的に良性異常角化で悪性の変化がみられないことより,老人性角化腫とも異なつた1つの独立疾患と考えられる.
Copyright © 1977, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.