Japanese
English
原著
Multicentric Reticulohistiocytosisの1例
A CASE OF MULTICENTRIC RETICULOHISTIOCYTOSIS
笹岡 和夫
1
,
平野 徹
2
,
伊藤 瑞子
2
,
山浦 英明
3
,
堀 真
3
,
高橋 勇
3
Kazuo SASAOKA
1
,
Toru HIRANO
2
,
Mizuko ITO
2
,
Hideaki YAMAURA
3
,
Makoto HORI
3
,
Isamu TAKAHASHI
3
1長崎市立市民病院皮膚科
2長崎市立市民病院臨床病理
3長崎大学医学部皮膚科教室
1Division of Dermatology, Nagasaki City Hospital
2Department of Clinical Pathology, Nagasaki City Hospital
3Department of Dermatology, Nagasaki University School of Medicine
pp.291-297
発行日 1977年4月1日
Published Date 1977/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412201722
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
要約 70歳,男.昭和49年1月頃より,ほぼ全身に帽針頭大の紅色丘疹を汎発し,2月より豌豆大位までの小結節となり,耳介,手指,関節背面,胸部,臀部では集簇性に多発し,多発性関節炎を生じて左肘頭部の腫脹をきたす.レ線像にて同部に虫くい様骨破壊像をみとむ.また,表在性リンパ節腫あり,白血球増多,血沈亢進,CRP(⧻),GOT,GPT値およびLDH値上昇.皮疹の組織では,種々の核形を示す大きな核と明るい胞体を有する細網組織球様細胞が,真皮全層と一部表皮内に著明に浸潤,増殖し,所により多数の多核巨細胞を混じており,リンパ節はreticulum cell sarcomaの所見を示した.VEMP療法にて一時非常に軽快したが,7月より発熱,食欲不振,悪液質をきたし,9月末イレウスを併発して死亡した.本例では,本症の本態として従来いわれているような組織球性細胞の反応性増殖症の域を逸脱し,細網組織球系細胞の腫瘍性増殖がみられた点で興味ある症例と思われる.
Copyright © 1977, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.