原著
Nodular Fasciitis
鏑木 公夫
1
Kimio KABURAKI
1
1東京慈恵会医科大学皮膚科学教室
1Department of Dermatology, jikei University School of Medicine
pp.391-394
発行日 1975年5月1日
Published Date 1975/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412201432
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63歳,男子の左前腕外側に発生したnodular fasciitisの1例を報告した.臨床的に2×2cmの皮膚よりわずかに隆起する健常皮膚色腫瘤で,硬度は弾性硬であり,圧痛はなく皮膚や下部組織とはやや易動性である.初診時,石灰化上皮腫または皮膚線維腫を疑つた.組織学的に皮下脂肪組織から下方に及ぶ腫瘤で境界はあまり明瞭でなく,束状に多方向に増殖している.腫瘤を構成する細胞は,紡錘形ないし星芒状を呈し線維芽細胞を思わせる.毛細血管の増生や赤血球の血管外溢出が見られるととも粘液腫様を呈する所見もあつたが,リンパ球を主とする細胞浸潤は軽度であつた.文献的にみて本症の臨床的特色として上肢,特に前腕が好発部位であり,単発で弾性硬,発育が2週間以内と割りあい急速であり,組織学的な所見では,線維芽細胞の増殖,毛細血管の増生,粘液腫様の所見を認めた.著者は本症を結合組織の増殖の1つのパターンという考えに賛同する.
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