Japanese
English
原著
Mycobacterium kansasiiによるスポロトリコージス様皮膚感染症の1例
A CASE OF SPOROTRICHOID CUTANEOUS INFECTION WITH MYCOBACTERIUM KANSASII
滝野 長平
1
,
所 祥子
1
,
美誉志 康
2
Chohei TAKINO
1
,
Yoshiko TOKORO
1
,
Yasushi MIYOSHI
2
1東京医科歯科大学皮膚科学教室
2東京医科歯科大学中央検査部
1Department of Dermatology, School of Medicine, Tokyo Medical & Dental University
2Bacteriology Laboratory, Central Clinical Laboratories, Tokyo Medical & Dental University Hospital
pp.1035-1040
発行日 1973年12月1日
Published Date 1973/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412201244
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37歳男子の右手背及び前腕に生じた一見リンパ管型スポロトリコージスを思わせる皮膚非定型抗酸菌感染症の1例を報告した.
皮疹は熱帯魚の水槽を掃除中に受けた外傷部に初発し,漸次大きさを増すと共に求心性に散布疹を生じて来た.自覚症はなかつた.
生検材料を組織学的ならびに菌学的に検索したが,組織学的には比較的特徴の乏しい慢性肉芽腫の像を呈した.菌学的には真菌は検出出来なかつたが,1%小川培地にて光発色性抗酸菌が検出され,生化学的性状からMycobacterium kansasiiと同定された.またマウスへの接種実験では肺・腎・肝・脾などに病巣の形成を認めた.
治療は試みに使用したdemethyl chlortetracyclineで散布疹は消失し,治療に抗した原発巣は完全に切除した.
本菌による皮膚感染症は比較的珍らしいものと思われるので,若干の文献的考察を加えた.
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