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連載 皮膚科学に貢献した医学者たち・24
スポロトリコージス(その1)
Sporotrichosis
高橋 吉定
pp.510-514
発行日 1975年6月1日
Published Date 1975/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412201449
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1.はじめに
かつてある日本皮膚科学会においてスポロトリコージスの症例報告があつた.その時,会員のひとりから次のような質問が出た.すなわち,"最近スポロトリコージスに関する外国文献を読んでいると,その病原菌をある著者は,従来どおりSpor—otrichum Schenckiiと書いているが,他の著者はSporothrix schen—ckiiと別の属名を与えている.いずれを採択するのが適当なのであろうか.またもしSporothrixを正しいとすると,病名のsporotrichosisも変更を要するのではなかろうか"以上が質問の要旨であつた.
この問題の第1は,次の記述中に説明されている.第2の問題の解答はこうであつた."動植物性病原体から病名をつくるとき,その属名の語尾をまげて疾患を表わすのは慣用手段であるが,病原体の属名が変更されたからといつて,いちいちそれに応じて新病名をつくることはせず,病名は旧名のまま保留しておくのが一般である.たとえばフィラリア糸状虫病は,その主要病原体Fil—aria bancroftiの属名をとつてfil—ariasisと以前から称されている.現今分類学的にFilariaは適当でないとして,Wuchereriaの名が一般に認容されている.しかし疾患名としては今なお,filariasisという人が多い.そうとすれば,Sporotrichumという属名がどう変つても,病名はsporotrichosisでよいではなかろうか".
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