スポロトリコージスの1例

A CASE OF SPOROTRICHOSIS

緒言

　スポロトリコージスは1898年Schenckが最初に記載し，1900年Hektoen and Perkinsが菌の培養に成功している。我国に於ては大正9年（1920）西沢，田辺の最初の報告以来今日までに50余例の発表があるのみで比較的稀有な疾患である。本症は疼痛，掻痒等の自覚症状がなく且つ極めて慢性の経過をとるので皮膚結核，慢性膿皮症等と誤診される場合が多い。著者等も皮膚結核と診断されていた患者に本症を発見したので茲に報告する。