皮膚科学の流れ 人と業績・16
Erasmus Wilson
高橋 吉定
pp.912-914
発行日 1971年9月1日
Published Date 1971/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412200857
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これまで1年以上にわたつて本誌に連載してきたのは,ヘブラ前史とでもいうべき皮膚科学の流れであった。ヘブラによつて現代皮膚科学が創始されたとすると,これまで叙述したのはヘブラの偉業の基礎となつた皮膚科近世史といつてよいかもしれない。その期間は18世紀の半ばから19世紀の半ばに至る約1世紀に当たるわけてある。
このヘブラ前史にBいてもつとも巨大な足跡を残したのはウィランであつた。彼によつて皮膚科学は科学として成立したのである。ウィランについでイギリスにおいては,幾多のすぐれた皮膚科学者が現われ,この時期のイギリス皮膚科学界には目を見張らせるものがあつた。これらの学者は皮膚科学の諸分野において卓越した業績を残し,皮膚科学の長足の進歩はイギリスの皮膚科学者によつて遂行された観がある。イギリス皮膚科学に刺激されてフランスにおいても皮膚科学が勃興し,アリベールのような宏才達識の学者が出現した。これにつぐ俊秀は,初め皮膚科学のイギリス的思想を踏襲するにすぎなかつたが,たちまちフランス独自の皮膚科学を発展させた。やがてフランス皮膚科学はその盛時にはいるのである。
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