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特集 基底膜
Ⅱ 真皮表皮接合部の超微細構造について—電子染色,トリプシン消化による自験例と文献による1考察
ULTRASTRUCTURE OF DERMO-EPIDERMAL JUNCTION
河村 甚郎
1
Jinro KOMURA
1
1京都大学医学部皮膚科教室
1Department of Dermatology, Faculty of Medicine, Kyoto University
pp.677-687
発行日 1971年7月1日
Published Date 1971/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412200828
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真皮表皮境界部には,光顕的にPAS染色で証明される線維性要素と均質性要素から成る構造が存在し,この構造が光顕的には"基底膜"とよばれてきた。一方,現在電顕的にふつう行なわれているosmium固定,酷酸ウラニル・鉛染色による試料では,真皮表皮境界部には電子密度のさほど高くない帯状の構造を認めるのみで,光顕でPAS陽性を示す構造が電顕下においてどのような像を示すかについては,電顕の初期の時代から議論されてきた問題であつた。
1967年になつてSwift & Saxton40)は皮膚をglutaraldehydeだけに固定して,切片の上でsilver impregnationを行ない,光顕のPAS陽性構造に相当する層は,電顕的基底膜と膠原線維との間の真皮最上層のreticulin領域にあることをはじめて電顕的に証明した。一方,著者らはglutaraldehydeのみに固定した皮膚をsilver以外の諸種重金属を用いて電顕的に染色し,とくに表皮細胞の細胞表面物質に関して2,3の知見を報告してぎた16,17,18)。本論文においては,これら電子染色剤としての重金属を応用することによつて得られたデータと最近著者が行なつたトリプシンによる消化試験の知見19)などから,光顕的PAS陽性の基底膜と電顕データとの関連を検討し,さらにglutaraldehydeのみの固定による基底細胞half-desmosomeの微細構造をも簡単に記載し,正常人の真皮表皮接合部の形態に関して検討を加えたいと思う。
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