〈原著論文抄録〉
先天性皮膚カンジダ症の1例,他
河村 俊光
1
,
深田 馨子
1
,
関藤 成文
1
1武蔵野赤十字病院皮膚科
pp.619
発行日 1971年6月1日
Published Date 1971/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412200821
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生下時すでにほぼ全身に皮疹の見られた皮膚カンジダ症はきわめてまれで,いままでに,全身性カンジダ症で汎発性皮疹を伴つた2例を加え7例を数えるにすぎない。
自験例では,母親の妊娠中の経過は異常なかつたが,破水より分娩まで約9時間を要し,また中等度の羊水混濁が認められた。皮疹は軽度の瀰慢性紅斑と,多数の粟粒大の漿液性丘疹および小水疱が播種状に見られ,あたかも中毒疹を思わせる状態であつた。さらに1〜2日後には多数の膿疱が出現,次第に増強した。これらの所見は特に顔面に顕著で,膿疱は他部位より大きく,融合傾向が認められた。また生後数日に,口腔の両側頬粘膜に,数個ずつ半米粒大の白色偽膜様病変を認めたが,爪囲爪炎はなかつた。皮疹,口腔粘膜病変および母親の腟分泌物より,培養によつてCandida albicansを検出した。組織学的には,角層下に水疱形成,角質増殖,一部に海綿状態などが見られ,またPAS染色で角層内に胞子および菌糸状の菌要素を認めた。治療は抗白癬剤の外用を行ない,約25日後に治癒した。
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