Japanese
English
綜説
サルコイドージスの免疫学
IMMUNOLOGY IN SARCOIDOSIS
河合 忠
1
Tadashi KAWAI
1
1日本大学医学部臨床病理学教室
1Department of Clinical Pathology, Nihon University School of Medicine
pp.327-334
発行日 1970年4月1日
Published Date 1970/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412200641
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はじめに
1969年にJ.Hutchinsonが第1例を報告してからすでに100年を経過するが,サルコイドージスの病因は未だ不明である。しかしサルコイドージス患者が奇妙な免疫異常を示すことが判明し漸く本邦においても注目を浴びている。しかも,近年結核患者の激減によりサルコイドージスも肺病変の鑑別診断上頓に一般臨床医にとつても重要な疾患の1つになりつつある。本邦では1960年サルコイドージス臨時疫学調査班が発足し,現在ではサルコイドージス研究協議会に引継がれ活発な検討が全国的におこなわれてい。
サルコイドージス(類肉腫症)は青年層に多く,臨床的には肺門リンパ節腫脹,肺病変,皮膚症状,眼症状,指趾骨の多発性嚢腫様骨炎,など多彩な所見を認め,これらの病変は組織学的にasteroid body, Schauman bodyを伴なう類上皮細胞肉芽腫である。検査成績としては血清γ-グロブリンの増加,血清カルシウム濃度の増加あるいはCa負荷試験の異常,アルカリ性フォスファターゼの増加傾向,単球増多,好酸球増多などが認められ,さらに免疫異常の存在が注目されている。これらの臨床所見および検査所見のどれ1つとしてサルコイドージスに特有なものがなく,多くの所見を綜合して診断している。
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