皮膚科学の流れ 人と業績・1
Ferdinand von Hebra
高橋 吉定
pp.89-91
発行日 1970年1月1日
Published Date 1970/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412200607
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はじめに
皮膚疾患には,その病名がいつの頃から学術的名称として使われているか,普通には知るひとの少ないものが多い。ただ皮膚病の病名には,命名者の名の付記されていることが少なくないので,その人の生きていた年代から推して,かなり古くからであろうと想像されるものがある。したがつて,そんな古くから現在までの長い間には,同じ病名でも,その内容は定めしいろいろと変遷を重ねたものもあるのではないかと臆測される。それで,古くから使われて今に至つた疾患名が,始めて設定された当時にはどんな内容をもつていたかそれを読者諸氏に紹介しようという計画が本誌の編集会議において企てられた。なお,ある疾患を創定した学者の略伝をも書き添えるならば,その皮膚病名のつくられた当時の事情を多少なりとも知るよすがになるだろうというので,それぞれの学者の小伝を付け加えることになつた。
この企画を実行するに当たつて,まずその露払いの役を仰せ付けられたのはわたしであるが,わたし自身何もその適役の者でなく,一体どういう構想をもつて書き出したらよいのか,思案にくれたのである。
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