皮膚科学の流れ 人と業績・3
Ferdinand von Hebra Robert Willian/Robert Willan
高橋 吉定
pp.292-294
発行日 1970年3月1日
Published Date 1970/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412200636
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(前号から続く)
痒疹(Prurigo)7)
痒疹のいずれの症例においても,最も早く現われるのは,表皮下の丘疹である。それは麻実大までの大いさを呈し,視るより触れてそれをよく知ることができる。この丘疹は皮膚面上に高まることが少なく,またその着色も正常皮膚色と変らないからである。丘疹は常に孤立性であり,全身何れの部にも出現するが,侵されない部位が常に存在する。著しい自覚症を生ずる結果,掻破によつてやがて丘疹は皮表に隆起し,紅色を呈することもある。絶えない掻破は,丘疹の頂上の表皮を破壊し,丘疹の内容は外部に露出する。このものはあるときは透明な無着色の滲出液であり,あるときは帯黄色の漿液であり,また真皮乳頭の損傷のため,毛細血管から,1滴の血液が溢出して,丘疹の頂上において針頭大までの黒色の痂皮に乾固する。丘疹は常に多数を発生し,それぞれが上記の経過を繰り返すが,発疹の範囲によつては,一般に痒疹といわれている外観を呈することになる。
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